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国際結婚と日本国籍


2007.9.11


近年の国際化に伴い、日本人と外国人との国際結婚は例年増加する傾向にあります。厚生労働省の統計によると、昭和40年代中頃では、国際結婚の件数は年間およそ5,000件でしたが、平成になってからは年間20,000件を超え、平成15年では年間およそ36,000件にも達しています。

例えば、日本人男性と外国人女性との間に子が生まれた場合、子の国籍はどうなるのでしょうか。国籍法第2条第1項によれば、「子は、次の場合には、日本国民とする。」とあり、第1号では、「出生の時に父又は母が日本国民であるとき。」とあります。つまり、子が生まれた時に(法律上の)父が日本人であれば、子は日本国籍を有することになります。

しかし、最近では子の日本国籍をめぐって訴訟になるケースも出てきました。フィリピン人女性と日本人男性との間に生まれて、出生後に認知された子が、両親が結婚していないことを理由に、日本国籍の取得を拒まれたことをめぐって、最高裁判所においても国籍法の規定が憲法14条の「法の下の平等」に反するかどうかの判断がされるのではないか、と注目されています。

国籍法第3条1項によると、日本人男性と外国人女性との間に生まれ、出生後に男性の認知を受けた子が、日本国籍を得るには「父母の婚姻」が必要とされています。

これに対し東京地裁では、夫婦共同生活たる内縁関係が認められるにもかかわらず、父母が法律上の婚姻をしているか否かによって、子に国籍が与えられるかどうかが決定されるのは不合理であり、認知された子にわが国との間で日本国籍を認められるに足りる結びつきがあるかどうか、という実質的な判断基準が必要なのではないか、という結論が出され、国籍法の規定は憲法14条1項に違反する、との判決がされております(東京地判平17.4.13判時1890−27)。

第2審の控訴審では、仮に「国籍法第3条が無効であるとしても、(中略)子が国籍を取得する制度が創設されるわけではない」として憲法判断には踏み込まず、原判決を取り消し、請求を棄却しています(東京高判平18.2.28家裁月報58−6−47)。

 このように、国際結婚と日本国籍の問題について考えてみると、「単に婚姻届が提出されているか、子の出生時において(法律上の)父母の一方が日本国籍を有しているか、」という画一的な基準によるだけではなく、実際には夫婦共同生活の実態調査や、時には法令の憲法判断さえも必要になってくることに気づかされます。そして、国際化に伴うこうしたさまざまな問題が今まで以上により身近に存在するようになるのではないか、と改めて実感致します。